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第49話

「よし、じゃあ開けるからな! 俺が先に入るけんその後ユウが入って 最後直樹な!」 「おけー」 「ちょお待て!俺が先に入って その次緋悠で最後お前にしようで!」 「いやいや!やから、俺が入ってやなぁ…」 「いや!俺が先ってば!」 …どっちでもええわ。子供か。 どうでもええけんはよせんかいっ! 中は外にも聞こえるぐらい盛り上がっているようだ。 何あれ楽しそう。 オレモウヤダ、 コイツラノアイテツカレタ。 「俺が先行くわ」 俺はドアを塞いでいるセイを押しどけ ドアノブに手をかけた ガチャッ 「「あ。」」 ドアが開き それと同時にさっきまで騒がしかった 部屋の中が一瞬でシーンと静まり返ったのだった。 …いや、なんでだよ! 「?続きどうぞ?」 何をしていたのか知らないが、 さっきみたいに騒がしく楽しそうにいてくれ。 と思い声をかけると ワァッと歓声が沸いた。 「ひ、緋悠様だ!」 「え、緋悠様とカラオケ? クラスメイトで良かった!」 「緋悠様どうぞソファへ 他の奴らは地べたでいいだろ!」 「そりゃ勿論!」 「ひ、緋悠様! 母に連絡したら是非緋悠様を見たいとの事ですので一緒に写真撮ってもらってもよろしいでしょうか?」 「あ!緋悠様よろしければなんですが、 うちの姉と電話していただけないでしょうか?」 …何だこのカオスは。 勢いがすごい。それはもう、セイ達の比にならないレベルで。 とにかく!何か言い返さなくては、 「えーっと、皆でソファ座ろう 俺1人でソファは流石に寂しいから それで…写真か、撮ろう。 電話も別にいいよー」 あ。勢いにやられて 全部承諾してしまった… まあ、クラスメイト達と関われているし 別にいっか。 俺の声で皆ソファに座ってくれたし、 写真撮ったらすぐ母親に送って返ってきた返事には「いつも応援しています。これからも頑張ってください!」って書いてあって そいつとそいつの母親からお礼言われて 心が温まったし お姉さんと電話したら 電話越しに熱烈な告白受けておもしろかったし どれも嬉しく思ったんだ。 それと同時に寂しくも思った。 無いものを無い無い言っても仕方ない事 なんだけどなぁ。 どうしても考えてしまうのはきっと、 まだ受け止めきれてないからなのだろう。 ─ 場の空気が落ち着き クラスメイトが歌っているのを聞いていると 「さ、じゃあそろそろ3人決めようか!」 そういえば、そうだった。 すっかり忘れていたが文化祭のを決める為に来たんだ、今日。 「はーい!今から説明します。 選ぶ3人のレベルは、下手よりの普通、上手い、さらに上手いでいこうと思います。 審査は俺と神崎がして統計取ってから発表する! 順番どうしよっか?」 「出席番号は?」 「それにしよ!じゃあ、出席番号1番の人から歌ってください!」

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