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第51話

マイク回ってきたが、 採点と特にバカ2人に気を取られて 歌う歌決めてなかったのだが、 2つに絞った。 どっちにしよーかな? 「緋悠どれにするん?」 選んでいると直樹が聞いてきたので 「んー?コレかコレ」 と言うと、 「お!緋悠もHaRuの歌にするんか! …いや待て。どっちも好きだけど、 コレどっちも音取り激ムズじゃん! 絶対他のにした方が良いって!」 えー。面倒くさいから却下。 「いや大丈夫。直樹だったらどっち歌う?」 「えー。だ、大丈夫や!緋悠が音痴でも俺はお前のファンや! どっちかかぁ…こっちかな。こっちの方が簡単」 音痴? あーそっちのが簡単なのか なら、 「こっちにする」ピッ 俺が押したのは直樹が選ばなかった方。 1連の動作を見ていた直樹はと言うと、 「え、ひ、ひっ!緋悠! なんでそっちー!?」 と叫んでおられる。 お前ほんま叫ぶん好きやな… 心做しかテレビに映る歌詞名にセイや藍澤、クラスメイト達までもが 直樹と同じような反応をしている。 何故? みんなの反応を不思議に思いながらも、 俺は歌いはじめたのであった。 「♪〜」 「((( ;゚Д゚)))」 「Σ( ̄□ ̄)!」 「(*´ω`*)」 歌いはじめる前は何故かビクビクしていた奴らが 歌いきる頃にはニコニコしてたんだけど、 本当になんで? 「は、はい!ありが、とうございました! 次出席番号11番の鬼頭くん!よろしくお願いします!」 なんで吃ってんだよ藍澤。 なにがあった? あー疲れた。 俺の次がセイでそのちょっと後が直樹か。 皆表情豊かだったなーとか 歌っている時のみんなの顔を思い出しながら セイの歌を待っていると、 「なぁなぁ!緋悠!」 「…」 何故か妙にテンションの高い直樹が話しかけて来た。スルーしとこ。って思ってたんだけど、 人の肩をバシバシ叩いてくるので痛い。 やめろ。叩くな。 「緋悠!緋悠!」 「はぁ。何?」 俺の周りってなんでこう空気読めない人達ばかりなのだろうか。 「緋悠!お前が歌ったあの歌ってどんな人が歌っても絶対音ズレるし、人気だから1回カラオケバトルとかで最初に歌わされる歌になったんだけど 全員初戦で脱落に追い込んだ歌なんやぞ! プロが歌っても難しすぎて今だにカバー出来るヤツがいなくて、あの歌を歌えるのはHaRuだけだと言われてたのに… お前天才かよ。」 「そりゃどーも。」 「お前この歌のカバー絶対出したほうがいい! 俺買うから!」 あーだから音痴がなんたら言ってたのか。納得。 この歌のカバーねぇ。。 「んー、それは無理だな。」 そう。無理なんだよ。 「はっ!?なんで?」 なんでそんな食ってかかってくるんや… 怖いわ。勢いが。 「なんで?なんで?なんで?」 って、ある意味ホラーなんですけど。 夢に出てきそう。 しょうがないか。 「直樹耳かせ」 「大きな声で言えないことなのか?」 そうだよ。 「ん。はよせなセイの歌はじまるで」 と言うと直樹の耳が近づいてきたので顔を寄せ 「俺がHaRuやからカバー出来んの。」 誰にも話してない俺の秘密。 1番俺に近いセイにも杏椰にも言っていない。 知っているのは、、、 俺含めた5人だけ。

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