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第52話

「はぁ!?緋悠がHaっムグッ」 咄嗟に直樹の口を塞いだ。 何こいつバカでかい声で俺の秘密喋ろうとしてんの!馬鹿じゃねぇの。 直樹の息とかムグムグ言ってる感触が気持ち悪いがもうこのまま塞いだままにしとこうか、 静かになるし。 そろそろセイの歌はじまるし。 てか、アイツどんだけ歌選んでんだよ! いろいろ思案しながら 直樹からセイへと視線を移すと それと同時に、 「ゃんっ…おいてめぇ人の手舐めてんじゃねぇよ。お前が余計なことデカい声で言おうとしたから塞いだんや。」 あろう事か直樹に手のひら舐められたし、 変な声でたし!!! びっくりして直樹口を塞いでいた手を退けてしまった。 せっかく、採点に集中できると思ったのに… この上なく残念な気持ちになりながら 直樹を睨む。 「緋悠の手のひら舐めれた最高! やんって!緋悠がやんって!エロい! あー、今の声もう1回だして!聞かせて!」 「…きもい。」 なんでこの人ニヤニヤしてるの? 変態なの? 直樹の彼女の詩音さん、 絶対こいつから早く逃げた方がいい! コイツは変人で変態や! 「緋悠俺に対して失礼すぎるだろ! 大丈夫、俺がここまで変態になるのお前だけだから。そう!お前だけ特別!嬉しいだろ? そんな事よりさっきのカミングアウトどうゆう事?」 いや、全く嬉しくない。。 ヘンタイイラナイ! もう変態なところはスルーしよう。 なんで俺コイツと友達なのか分からなくなってくる。 「…どうゆう事?ってそうゆう事。 お前さっき聞いたやろ他の俳優歌出しよるのに 俺は出さんのかって、 話しきた時断って神崎 緋悠としてじゃなく、 別の俺として出したかったん。 最初は、そのまま出そうかと思ったんやけど そんなん他の歌手に失礼やし 俳優ってゆう肩書きあるから聴いてもらえるって言うのも嫌やったんや やから、名前変えて顔出しNGで歌出してみただけ。」 「お前…すごいな。」 「そりゃどーも。なんも凄い事ないけどな。」 俺は肩書きなしで ちゃんとした評価が欲しかっただけ。 それにもし俳優って肩書きありで歌出して 売れなかった時寂しすぎるやん。 俺は臆病なだけや。 「なんでHaRu? かんざき ひゆう どこにもハルって入ってないだろ?」 「緋悠の悠がハルとも読むやろ それでローマ字にしてHaRu」 「なるほどなぁ。 悠でハルって読むのか初めて知った。 …ハッ俺数少ないHaRuの正体知ってる人に入ってしまった!緋悠様最高っ! それにしても緋悠はすごい!」 「お前はマジで勉強した方がいい…いろいろと。 だからすごくないってば!」 「いーや、緋悠がなんと言おうとも すごい!」 臆病なだけなのに。 それなのに、直樹はその後もすごいって何度も 言ってくれた。 「よっしゃ!決まった!俺これにする!」 セイ…お前は歌決めるんにどんだけ時間かかっとんや。

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