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第53話

あー、そういえばセイって… 只今、セイが歌っている所なんだけど、 彼は音痴だ。 マイクを持って気分良さそうに歌っているが、 音痴なんだ。残念な事に。 ちなみにセイが歌っているのは俺の歌。 歌ってくれるのはありがたいし セイが知ってる事にびっくりだが、勘弁して… 俺の歌を地獄の歌に…皆のトラウマになるわ! 見ろ歌い出すまでキラキラとしていた藍澤の目を 真っ黒だわ。いつもセイの前で笑みを絶やさない藍澤の笑みが引きつっている。 あんな近くで地獄の歌聴かされて可哀想… 自業自得だが同情する。 「そういえば、聖夜って音痴なんだよな…」 「うん」 「あれ?緋悠、聖夜の歌聴いたことあったんだな?」 相槌を打つと ずっと隣にいる直樹が聞いてきた。 「まぁね。」 幼稚園の時からセイと一緒だし、 歌発表の時とか先生が始まってすぐセイの所に走ってってやめさしたの思い出した。 中学から一緒に遊ぶこと少なくなって 1回だけセイの家で宴会がある時聴いたがあの時は全員耳を塞いで早く終われとひたすら願ったなぁ。 セイの場合歳を重ねるごとに上達するどころか どんどん音痴に磨きがかかっている。 見ろこの場の皆の目を あの宴会の時と状況が被ってるじゃねぇか。 「緋悠、アイツに歌教えてやれよ いつも聖夜とカラオケ行く時困るんだよ。 前音痴だな!って言ったら「は?俺が音痴なわけないやろ!」ってキレられたし、 緋悠の無自覚は可愛いし萌えるが アイツの無自覚はなにも可愛くないんだけど!萌えないんだけど!」 「知らねーよ。 セイに歌教えても無駄や。 我が道を行く自己中男やぞ、 見ろ性格が歌い方にまで出とる 教えたって聞かないやろうし、 例え教えれたとしても 俺の耳が壊れる方がはやい。」 「確かに。」 「〜♪」 気分良さそうに歌いやがって、 周りを見んかいっ! って…セイに言ったところで無駄なので そこから俺らはお互い喋らずただひたすら耳を塞いで終わるのを待った。 耳塞いで目を閉じたら 酔いそうだったので目を開けると セイが俺の方を見つめながら笑顔で歌っている アイツは俺にアピってんのか… 高校生になって初めてセイの歌っている所を見た感想は、歌っている所は楽しそうでキラキラしてて惚れ直すが歌が兵器なので マイナスでしかない。 あれで歌も上手かったらプラスなのに 現実これだから結果的にアピール失敗。 残念だったな聖夜。 俺に歌でアピールしたいなら、 もっと上手くなって出直して来いよな。 楽しみにしてるから。 セイの採点?そりゃ勿論 超絶下手にしました。

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