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第57話
あの後すぐ急に「思い出した!」って言い出した直樹が慌てて帰って行き
セイも「俺することあるけん30分ぐらい部屋くんなよ!」と言い残し部屋に篭ってしまった。
なんなんだ?2人揃って。
また何か企んでいるのだろうか。
気になるけどたぶん知らない方がいい事なので、
俺は杏椰からの仕事を再開し、
そのまま寝てしまって。
次の日の昼休み
学校なうです。
そして、昨日杏椰の所へ行けなかったので
現在理事長室。
「ねー!ひー?
おーい!ひー?ひー!」
「うるせぇよ。何?」
この理事長俺に仕事させてるくせに
膝に俺を乗せ俺の首元に顔を埋め
ずーっと名前呼んでくる。
余計な事する暇あるなら自分の仕事を自分でしてくれ!
「今日文化祭の日の緋悠様撮影会の事決めようかなーって思って!」
「…あぁ。」
そういえば、そんなモノあったな。
「ひーったらぁ!反応薄すぎるだろ!
俺そんな子に育てた覚えn「お前に育ててもらった覚えこそないけどな。」ひー冷たい!心が痛い!」
知らんわ。
本当…なんでこの人理事長になれたんだろう。
謎すぎる。
そんなしょうもない事よりも、
「決めるならはよ決めてよ」
俺は早く集中したい…
「お前も決めんだよ。
俺的には2日とも午前と午後で1時間ずつで
1人1枚のみ、外部と学園内の人達で早い者勝ちでいいと思うんだけど、ひー的にはどう?」
俺?俺的にはそりゃ勿論…
「だるいけんやらんのが1番やと思う」
「いや、やるんだよ。真剣に答えろ!」
えー。ワガママかよ!
「はぁ。それさ、早い者勝ちでもいいけど
それにしたら外部からと学園内の人達で
揉めたりせん?
1日目は、学園内の人だけやけどその1日目に撮れんかった人が2日目に流れるしとて、
2日目は、外部の人と学園内両方になるやん?
やから早い者勝ちにするよりも
1日目は、学園内の人だけ
2日目は、外部の人だけってして
写真は時間内に来てくれた人全員と撮る」
文化祭を楽しみにしてる人が多いのに
その楽しみな行事をその人にとって悪い思い出にしてはいけない。それに俺が関わるなら尚更。
俺は、俺なんかと写真を撮りたいと言ってくれる人皆に満足して欲しい。
「あー、確かに。ならそうすっか!
でも、ひーの休憩とかは?
何時からの何時までにする?
文化祭自体は9時スタートの16時まで。」
「そうやなぁ…
なら10時から15時までに来た人と撮るわ。
休憩は状況次第って事で。」
「了解!
あ、でもお前クラスの出し物見に行かんで良いのか?」
あ。クラスの出し物の事忘れてた。
どうしようかなぁ。
…まあ、9時から10時と15時から16時。
撮影会の後は微妙やけど、
前なら見れると思うし。
俺にとっては撮影会の方が優先事項やから
当日はあんまりクラスの人達と親睦深めれんくなってしまったけど、その分準備で深めれたらいいな。
「大丈夫。」
そう言ったその時の俺の顔は、
杏椰にはどう見えたのだろうか。
きっと、寂しいけど楽しみな複雑な顔をしていたのだろう。
だって俺の顔を見た杏椰が、
「ひー!お前は今日もそんな儚げで色気ムンムンで俺をどうする気や!」
アホな事を言っていたから。
いつも通りアホな従兄弟は今日もアホだった。
儚げで色気ムンムンってなんやねん!
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