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第一章・3

 幼い頃から共に育ってきた弦は男らしく、礼節を守る、千尋の憧れとなるような立派な人物だった。  泣き虫で、いじめられていた僕。  二つ年上の弦兄ちゃんは、そんな僕をいつも助けてくれた。  一緒に遊んだり、宿題を見てくれたり、かばってくれたりもした。  それが一つ屋根の下で暮らすようになってから、音を立てて崩れてゆく。  今まで見えなかった、負の部分がどうしても目に入る。  しかし、それが人間というものだろう。  逆に、弦がいつまでも繕った態度で振舞う人間だったら不気味だろう。  飾り気のない家族のような存在の弦は、ある意味予想通りで喜ぶべきだろう。  だがしかし。

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