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第一章・7

 弦は学校にはちゃんと出るが、進んで友達を作るようなことはしなかったので、授業前は暇だった。  周囲は楽しげに昨晩のテレビ番組の話題などでにぎやかだが、それに乗るような真似もしない。 (フッ、幼いな)  首をぐるりと回す。  クラスメイトより、明らかに一回り大きな体格。  大人びた顔立ち。  まだ17歳なのに、教師ですら、おまえ今年は成人式だな、などと冗談を言うような始末だ。  精神面でも同じことで、周囲の話題はいつも幼稚だと感じていた。  テレビ番組やマンガ雑誌、ゲームやSNSのことなど全く興味がない。    そんな弦だから、友達になろう、などと言って来る者もいなかった。  ただ一人を除いては。

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