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第一章・12
かわいらしく心穏やかな千尋は、女子の間で人気だった。
入学当初は何かと気を配って、世話してくれていたものだ。
だが、人気は高じるとからかいの対象になる。
今ではすっかりいじられキャラになってしまった千尋を、弦は心配していた。
以前、男子からラブレターをもらったと悩んだことのある千尋。
差出人を締め上げると、数人で仕組んだいたずらだと白状した。
冗談半分でやったことだ、許してくれ、と悲鳴を上げながら必死で言い訳していたが……。
(冗談半分ということは、あとの残り半分は本気なのでは!?)
いまさらながら、どきりとした。
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