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第二章・16
『先輩。あぁ、先輩!』
「!?」
画面いっぱいに、半裸でもつれ合う男女の姿が映し出された。
空気が、一瞬のうちに凍りつく。
「え、あ、夕食、もうできましたから!」
団らん時に見るラブシーンほど気まずいものはない。
意識しないようにすればするほど、意識してしまう。
食卓を囲んだころには問題のシーンは終わっており、千尋はホッとした。
だが、どうしても頭から離れないあの姿。
そして、同じように、先ほど先輩の胸に抱かれた自分がここにいる。
たくましい腕、広い胸、熱い体温。
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