32 / 239

第二章・17

(やだ。僕ったら、どうしちゃったんだろ)  胸が、ドキドキする。  顔が、赤くなる。 「千尋」  は、と息を呑んだ。  真剣な先輩のまなざし。熱い視線。差し伸べられた腕。  弦先輩。僕の先輩。  先輩のことは大好き。  大好きだけど、好きっていうのはそういうんじゃなくって! 「おかわり」 「あ、はい」  心のどこかで何かを期待した思いは、脳で認識する前に霧散した。

ともだちにシェアしよう!