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第二章・25

 しかし、千尋は動けなかった。  引き剥がすには、弦の体温は、匂いは、その胸の中の心地よさはあまりに鮮烈だった。 「来ちゃダメだ、って言ったのに」  でも、やっぱり来てくれたんですね。先輩。  千尋の声に、弦はようやく正気に戻った。 「ちッ、千尋! 何を考えてるんだ!? そんな格好で!」 「ごめんなさい、弦先輩!」  だが、そんな格好の千尋に思わず抱きついてしまった自分がここにいる。  後が続かずしどろもどろとしているところに、素っ頓狂な声が響き渡った。

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