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第二章・27
帰宅すると、弦の姿はリビングにはなかった。
まさか、と思いそっと寝室のドアを開けてみると、昨日同様布団を頭からすっぽり被って丸くなっている先輩の姿があった。
「弦先輩」
返事がない。
怒ってるんだろうな、とため息をつき、一言だけ言った。
「ごめんなさい、先輩」
そして寝室のドアを閉め、その場を後にした。
キッチンのテーブルには弁当が二つ置かれていた。今日は片づけで遅くなることを見越して、弦が夕食にと買っておいてくれたに違いない。
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