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第三章・2
千尋のことがかわいいと思った時には、ついキスをしたくなる。
そんなことが、もうこれまで何度あっただろう。
時を重ねるにつれ、頻度があがってきているのは確かだ。
そして、そんな弦を拒みもせず嬉しそうに迎える千尋。
日常に、ひとしずく落とされた蜂蜜のように甘いひととき。
ただ、それ以上のこととなるとまるで見当もつかない二人だった。
想像できない、というか、きっかけがない、というか。
それでも二人はただ幸せで、口づけで愛を確かめ合っていた。
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