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第三章・20
千尋が、ソファの弦の横に腰掛けてきた。
上目遣いの、すがるような視線。
それに応えて、そっと口づけた。
朝と同じように、すぐに唇を離そうとした。
だがしかし。
動画の男女は、もっと激しいキスを交わしていた。
何度も何度も唇を重ね、時折舌がのぞいていた。
弦は、軽く舌を伸ばして千尋の唇を舐めてみた。
「ん……」
かわいらしい声が漏れる。
もう一度、今度はもっと深く口づけた。
唇を離してはまたつながり、つながってはまた離した。
そのたびに、ちゅっ、ちゅくと静かな音が響く。
千尋が、甘えた声を漏らす。
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