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第三章・28

 すごすごとバスルームに消える千尋の後姿を見送った後、弦の腹はぐうと音を立てた。 (いかん。出したら猛烈に腹が減ってきた)  千尋が風呂からあがったら、すぐに飯にしよう。  そして、飯が済んだら……。  飯が済んだら、どうしよう。 (やるのか? 続きを!?)  やるとしたら、時刻的にも今度はベッドの上となる。 (いや!? それはまだ早いだろう!)  やるべきか、やらざるべきか。  贅沢な悩みを胸に抱えながらも、腹はぐうぐう鳴らす弦だった。

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