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第四章・2

 弦も開始線に戻り、襟を正す。  審判の高く上げた腕が、高橋の方に向けられた。 「高橋!」  どよめきが起こり、固唾を呑んで見守っていた青藍高校柔道部員たちが歓喜の声を上げた。  柔道部のOB・田中(たなか)先生が連れてきた、鳴矢(なるや)高校の海江田弦。  鳴矢は確か、弱小だったはず。  そこの、しかも初心者だという弦が、一年生からすべて一本勝ちを奪った時から彼らの焦りは始まっていた。  二年生が次々と負け始めたときから彼らの危機感は強まっていった。

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