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第四章・3

 このままでは、50人以上いる柔道部員が無名の初心者に総ナメにされてしまう!  三年生までぽつりぽつりと負け始めたとき、さすがに田中は困った。  確かに当初は弦に柔道の面白さを知ってもらおうと考え強豪の青藍にまで引っ張ってきたが、肝心の部員たちに自信をなくされては申し訳ない。  まもなくインターハイを控えていることもあり、ここで士気が下がっては台無しだ。  そこで、練習試合に思いきって主将の高橋を弦にぶつけた。  体格、技能、経験、すべてを上回る高橋は、弦を寝技に持ち込み最終的には下からの腕十字固で決着をつけた。  終始攻めにくる弦を見事にさばき、返し技で仕留めたその運びは、さすが経験豊富な真の柔道選手だった。

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