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第四章・7

 でも、僕のことも少しは考えてほしいな。  そんな気持ちもあったので、珍しくおねだりをしてみた。 「ねえ、先輩。明日は練習おやすみなんでしょう?」 「ああ、クールダウンの日だ」 「だったら、どこか一緒に出かけませんか? せっかく夏休みなんだし」  そうだな、などと言いながら優しく笑う弦の姿を期待していた千尋だったが、意外な反応を返された。 「うん……すまないが明日は一日、家に居たい」 「え?」  がっかりしたような千尋の表情に、弦は慌てて手を振った。 「いや、お前にも手伝ってもらいたいんだ。出かけるというなら、留守番していてもいいが」  弦先輩を置いて一人で出かけるなんてありえない、と思ったし、自分に手伝えることがある、というのも嬉しかった。  千尋は身を乗り出して喜んだ。 「僕、先輩のこと手伝います! 何です? そのお手伝いって」 「ああ。ちょっとな」  少し歯切れの悪い弦の態度が気にはなったが、明日一日一緒にいられると思うと胸が弾む。  わくわくしながら、千尋はその晩眠りについた。

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