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第四章・14

「千尋、もう一度やるから俺の言うとおりに動いてくれ」 「はい」  そう言うと弦は再び千尋の体の上に被さってきた。  頬にかけられる熱い息に、千尋はぶるりと震えた。 (さっきから、こんなことばかりしてるけど……)  冷静になって考えてみると、これはとんでもなく。 (やだ。何だか、感じてきちゃった)  弦の左腕が千尋の首の下にもぐりこみ、右腕は胴を抱え込むように回される。  まるで、抱きしめられているようなポーズだ。  顔は、少し傾ければキスが簡単にできるくらいに近い。

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