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第四章・25

「全部入ったぞ」  ゆっくり息を吐く千尋に、優しい声がかけられた。  涙でにじんだ眼に、弦の姿が浮かぶ。 「動くぞ。いいな」  深く貫かれたものが、今度は内壁に逆らって引き抜かれてゆく。  魂まで抜かれるような、悦楽の波が襲ってくる。 「あ、あぁ、あ」  再び、奥まで突きこんでくる肉茎。  千尋の体は、快楽の際を知った。 「ああッ! あぁッ! あッ、あッ、あぁあッ!」  どんどん激しく、速くなる弦の動きにあわせて千尋の甘い悲鳴があがる。  髪を振り乱し、腰を波打たせ、弦の背中に爪を立てて、千尋は初めての愛の行為に耽った。  痛い。苦しい。  でも、気が狂うくらい気持ちいい。  再び沸き立ち、射精した気配を覚えた。  ああ、もう何度目だろう。先輩は、まだ一度も出してないのに。 「せ、先輩ッ」 「ん?」 「先輩も、弦先輩も、出してえぇッ!」

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