107 / 239

第五章 「今度は上だ! 俺に跨がれ、千尋!」 「いやあぁあ!」  夜はどんどん更けていく一方だった…

 長い長いと思っていた夏休みもあっという間に終わり、新学期が始まった。  通常の時間割に戻る前にホームルームが設けられ、その中で行われる席替えにクラス中が浮足立っていた。  やれ、誰と席が離れてしまっただの、誰と席が近くなっただの、誰が隣になっただのと騒がしい。  そんな中、 弦はただ淡々と自分の机を新しいポジションに運んだ。 (フッ、くだらん)  自分の席の隣が誰になろうと関係ない。  己は己なのだ。  それくらいで一喜一憂するクラスメイトの幼さに、弦は呆れていた。  だがしかし。

ともだちにシェアしよう!