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第五章・5

 暑いのは学校もだが、寮でもそうだ。  最近実に寝苦しく、弦は夜中に何度も目を覚ましていた。 「暑くて寝られん!」  がばり、と起きだした弦に千尋も目が覚め、手元のリモコンを探った。 「先輩、エアコン付けましょうか?」 「いや、いらん」  エアコンの冷風はあまり好きではない弦。  掛布を手に、寝室を出てゆく。 「どうするんです?」 「窓を開けて、リビングで寝る」  ベランダへのガラス戸を全開にし、弦は横になった。  眼を閉じると、冷たい風がそろりと入ってきて心地いい。

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