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第五章・8

「あ~ッ! リラックマ! リラックマのキャラ弁!」  隣の酒井が、突然大声をあげて弦の弁当箱をのぞきこんできたのだ。  かわい~かわい~♡ と大騒ぎする坂井の声に、彼女の友達数名が駆け寄ってくる。 「いや、ちょっと、コレ、かわいすぎない?」 「キイロイトリもいる~♪」 「写真撮らせて!」  男子までもが、何だ何だと席を立って見に来る。騒然となった教室に、弦は焦った。  ただの弁当が、こんな騒動を起こすとは! 「いいかげんにしろ! 食えん!」 「え~! 食べちゃうの? もったいな~い!」  いつもなら5分で食べ終える弁当が、この日は1時間かかった。

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