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第五章・12
夜遅くまで、恋人と楽しいひとときを過ごした女優。
彼女は翌日、寝坊をしてしまった。
いけない、こんな時間、などと言いつつ、ばたばたと走り回る様子が映される。
次のシーンでは、朝寝をした割にはきちんと化粧をして、でもなぜかトーストを口にくわえて走る女優の姿が。
飯くらい行儀よく家で食え、と弦は心の中でツッコミを入れたが、そこで閃いた。
「これだ!」
思わず立ち上がった弦に、千尋が眼を円くしている。
「どうしたんですか、先輩!?」
「いや、何でもない」
お前が『きゃらべん』を作れなくなる方法を思いついた、とは言えない弦。
だが、今夜からでも実行できるその妙案に、ひとり頷いていた。
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