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第五章・20

 あぁ、もうすぐ。  もうすぐ、先輩が吐いてくる。  その熱い滾りを、渡してくれる。  千尋の悦びは、際まで昇りつめてゆく。 「くッ」  弦が喉奥で唸った。  来る。  さあ、先輩。来て。僕の中に、たくさん出して! 「……」  来ない。  弦が、渡してくれない。  おかしい。  いつもなら、このタイミングで先輩は射精するのに。

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