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第六章・5

「そうだ」  田中は、ぽんと手を打った。 「山本先生、体育祭で応援合戦の種目があるでしょう。海江田を、団長にしてみては!?」 「海江田を、応援団長に!?」  それはいい、と山本は首を縦に振った。  白組全員を率いての、応援団長。  弦の秘めたるリーダー性を目覚めさせるには、絶好のポジションだとうなずいた。 「さっそく、彼に勧めてみます」 「頑張ってください、山本先生。私からも、言うようにしますから」  体育祭にも、教師の思惑がこのようにして絡んでくることがあるのだ。  何も知らない弦は、その日のうちに職員室へ呼び出された。

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