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第六章・6

「俺が応援団長、ですか!?」 「うむ。海江田、お前なら白組全員を一つにまとめることができると思うんだ」  いえ、ちょっと待ってください、と弦は反論した。 「団長なら、生徒会長の中村くんとかいるでしょう」 「中村はすでに、生徒会長という大役を引き受けているんだ。先生は、いろんな生徒にこういった機会を与えたいと考えているんだよ」 「しかし……」  快諾しない弦に、いろいろと説得を並べる山本。  そこに、田中からの助け船が。 「海江田、もし団長やるなら米10㎏プラスするぞ」  夏休み、他校柔道部員の稽古相手になる報酬に、実家から送られてくる新米を10㎏やる、と約束していた田中。  さらに10㎏上乗せの誘惑に、弦は負けた。 「解りました。団長を、やります」 「そうか! がんばれよ!」  山本は、嬉しそうに風呂敷包みを持ち出した。 「我が校に伝わる、伝統の学ランだ! さっそく着てみろ!」

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