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第六章・7
何という手際の良さ。
これはもう、山本先生の脳内では俺が団長と決定していたに違いない、と弦は呆れた。
袖を通してみると、田中が素早くやたら長い白のたすきをかけてきた。
きりりと締めると、歴代でも類を見ないような見事な応援団長が出来上がった。
「似合うぞ、海江田~!」
「先生が見込んだ通りだな!」
「先生……、この長ラン、違反制服なのでは?」
「応援団長にだけ許された、特権だ!」
職員室は、弦の長ラン姿に沸いた。
若い女教師など、スマホを持ち出し撮影する始末だ。
(何だか、困ったことになってしまった気がする!)
長ランの袖を握りしめ、弦はこめかみに汗をひとすじ流した。
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