145 / 239

第六章・8

 帰宅し、うかつに応援団長を引き受けてしまったことを後悔し始めていた弦だったが、その団長姿を見た千尋に大いに褒められた。 「弦先輩、カッコいい! すごく似合ってます!」 「そ、そうか?」 「ね、ちょっと振り付けやってみてください」 「いや、それはまだ知らん。明日から田中先生が教えてくれるそうだ」 「田中先生が?」 「うん。先生も昔、団長をやったことがあるそうだ」  こぶしを握りしめ、眼をキラキラ輝かせる千尋の姿に、弦は俄然やる気が沸いて来た。 (一度引き受けてしまった以上は、全力でやらねばなるまい!) 「きっと練習大変ですよね。僕、がんばってお弁当作ります!」 「いや……、弁当は普通で構わん」 『きゃらべん』の恐ろしさを、弦はまだ忘れてはいなかった。

ともだちにシェアしよう!