146 / 239

第六章・9

 翌日から、弦は昼休みを潰して応援の振り付け練習にあけくれた。  まずは、運動場中に響き渡る大声を出すことから始まったが、これはどうというものではなかった。  喧嘩で啖呵を切るノリでやってしまえばいいことだ。  普段は大声を出すことなどない弦が吼えるその姿に、全校生徒が震え上がった。 「海江田、すげえ」 「しゃべらないヤツだと思ってたよ」  この時点で、すっかり白組どころか紅組の心まで鷲掴みにしてしまった弦。  振付の練習が始まる頃には、その姿を拝みに見学者まで現れ始めた。

ともだちにシェアしよう!