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第六章・10

「海江田クン、カッコいい♡」 「私も白組になりたかった……」  練習中は集中しているので周りがすっかり見えない弦だが、ふと手を休めると人だかりができている。 (何だこれは!)  散れ! 俺は見せ物ではない! と言いたいところだったが、あまり目立つことはしたくない。  いや、この時点ですでに目立ちまくりなのだが。 「海江田、お前スジがいいな。明日からはいよいよ白組全員率いての練習だ。がんばれよ!」 「はい……」  いよいよ、あの長ランを大勢の前で着なくてはならないのだ。  弦は一抹の不安を覚えていた。

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