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第六章・25
「何ッ!?」
「あ~あ。弦先輩、残念でしたね」
どこまで解かっているのか、千尋は明るい笑顔を向けている。
残念だ。残念極まりない。
だが先輩として、人前でそんなそぶりを見せるわけにもいかず、そのまま千尋とは別れた。
クラスに戻ってからのホームルームでは、担任の山本が生徒全員にジュースを一缶ずつ振る舞ってくれた。
(つぶつぶオレンジは、千尋が好きなジュースだな)
弦はジュースを飲まずに、そのまま持ち帰ることにした。
長い一日が、終わった。
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