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第六章・26

 いや、まだ終わってはいない!  帰宅した弦はつぶつぶオレンジジュースを千尋に渡しながら、もごもごと話しかけていた。 「あの、な。千尋。最後の……アレだが……」 「最後のアレ?」 「二人で一緒にくるくる回ったりする、アレだ」  あぁ、と千尋は勘付いた。  先輩は、フォークダンスの事を言ってるんだ。  そして、一緒に踊れなかった事を残念に思ってくれているに違いない。  ここはひとつ、千尋は弦の気持ちを汲み取ることにした。

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