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第六章・28

「解かった。では千尋、お前も体操服になれ」 「ええッ!?」  互いに、おかしな趣味を持っているものだと考えながら、先輩後輩はそれぞれ長ランと体操服に着替えた。  音楽が無いと踊りにくいな、という弦のために、千尋はアカペラで曲を口ずさみながらくるくる回る。  いろんなことがあった一日だったが、済んでしまえば楽しい思い出だ、と弦がしんみり噛みしめたところで、突然千尋がかくりと膝を落とした。

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