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第七章・2

 にっこり笑って、赤ペンのキャップを空ける。  10月の暦に、不燃ごみや資源ごみを出す日を書いておかねばならない。  千尋の、月末の習慣の一つだった。  9月の暦をめくり、次の10月を見たとたん、ドン! と擬音が聞こえた気がした。  10月9日に、黒々と極太マジックペンで丸印が付けられているのだ。 「10月9日って、……あ!」  僕の誕生日だ、と千尋は思い出した。  自分で書いた覚えはない、とすると、これは弦が書いたものだ。

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