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第七章・3

「弦先輩」  自分の誕生日すら忘れるような、弦。  それが、後輩である千尋の誕生日は忘れまいと、わざわざカレンダーに印まで付けている。  千尋の胸は、いっぱいに満たされた。  嬉しい。  ちょっぴり、照れくさい。  先輩は、僕の誕生日に何をしてくれるんだろう。  何か欲しいものはないか、などと尋ねてくれるのだろうか。  期待に胸ふくらませ、千尋は10月9日を指折り数えて待つようになった。

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