186 / 239
第七章・9
「千尋、お前の誕生日だが」
来た、と千尋は胸をときめかせた。
ついに、弦先輩が僕の誕生日を話題に!
何か欲しいもの? なんだろう。急に言われても、思いつかないよ。
「遊園地へ一緒に行かないか」
予想外の言葉に、千尋は息をのんだ。
遊園地。
あの弦先輩が、遊園地に誘ってくれるだなんて!
眼を丸くして黙ってしまった千尋に、弦は探るように訊いた。
「イヤか?」
「え!? あ、ううん! 嬉しいです。すっごく、嬉しい!」
よかった、と弦は安堵の息をついた。
「あとは、遊園地の中の店で、何か欲しいものがあれば買ってやる」
「ありがとう、先輩!」
あぁ、なんだか夢のよう!
先輩とお出かけ。
弦先輩とデート、と千尋は9日までの残る3日をふわふわした気分で過ごしていった。
ともだちにシェアしよう!