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第七章・11

「また次の機会を考えよう。遊園地は、逃げはせん」 「はい……」  でもでも、誕生日に一緒にデートすることに意義があるのだ。  千尋は、それが悔しかった。  熱で朦朧とし、寝たり覚めたりしているだけで時は過ぎる。  うとうとして目を覚ますたびに、寝室へ入ってくる日の明るさの加減が変わってゆく。  遊園地へ行ってたら、今頃ランチして……。  遊園地へ行ってたら、今頃パレード見て……。  遊園地へ行ってたら、今頃お茶飲んで……。

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