189 / 239
第七章・12
布団の中で、過ごすはずだった楽しい時間を虚しく送る。
すっかり夜になってしまった頃には、千尋の絶望はピークを迎えていた。
そんなところへ、弦が寝室を覗いた。
手にはトレイを持っている。
「飯ができたぞ。食うか?」
「弦先輩が、料理を!?」
「雑炊を作った。たべられそうか」
「はい! いただきます!」
料理が苦手な先輩が、僕の為に雑炊を作ってくれたのだ。
それだけでも、素敵な誕生日プレゼントのように千尋には思えていた。
ともだちにシェアしよう!