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第七章・13

「すまんな。誕生日なのに御馳走もできなくて」 「そんな。弦先輩がここにいてくれるだけで、僕は嬉しいんです」  そう。この日常が、何より嬉しい贈り物。  千尋は、そのことを充分解かっていた。  思いのほかお腹がすいていたのか、千尋は雑炊をあっという間に平らげた。  体温も、ほぼ平熱に戻っている。 「あ~あ。この分だと、きっと明日はすっかり元気ですよ。今日が日曜日だなんて、ツイてないな」  今日が土曜日で明日が日曜だったなら、一日遅れではあるが遊園地へ行けたはずだ。

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