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第七章・15
湯の入った洗面器と清潔なタオル数枚を寝室に準備し、自分は出て行こうとする弦を、千尋は引き留めた。
「ね。先輩が僕の体、拭いてくれませんか?」
「自分でできるだろう。子どもじゃあるまいし」
だってぇ、と千尋は妖しく眼を細め、見つめてきた。
「今日は僕の誕生日ですよ? せめて、僕のお願いきいてください」
「仕方のないやつだ」
遊園地がおじゃんになったのだ。これくらいなら、と弦はタオルを湯にくぐらせ硬く絞ると、千尋の体を拭き始めた。
首に肩、脇に胸、そして、腹。
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