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第七章・20

 そこで、千尋の顔を自分からゆっくりと離した。  とろんとした眼の千尋は、唇の端から唾液をのぞかせすっかりおねだりのまなざしになっている。 「俺が欲しいか? 千尋」  こっくりと、うなずくだけの千尋。  そこで、ぽろりと一粒だけ涙が零れ落ちた。 「今日はお前の誕生日だ。くれてやる、俺を。お前だけに全部」 「先輩」  二人、しっかりと抱き合った。  千尋の体が、熱い。  まだ熱があるのか。  だが、もう止まらない。止まれない。  弦はそっと千尋を横たえ、その両脚を大きく開かせた。

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