202 / 239
第七章・25
先輩。僕の先輩。僕だけの、先輩……。
「あッ! あぁッ! あぁああ!」
弦の激流が、千尋に注ぎ込まれてきた。
狭い内壁を圧迫し、たちまちのうちに満たしてゆく。
体中に、足の先から髪の毛一筋にまで、震えが走る。
「あぁッ! はぁッ! あッ! はぁあッ!」
喘ぎ悶える千尋に注ぎながら、弦は優しくその髪を撫でた。
誕生日おめでとう、千尋。
来年の誕生日も、またこうして迎えられるといいな、との言葉は吐かなかった。
そんなこと、恥ずかしくって言えやしない。
ただ、黙って髪を撫でた。
千尋の昂ぶりが鎮まるまで、優しく肩を抱いていた。
ともだちにシェアしよう!