205 / 239

第七章・28

 口をパクパクさせる千尋に、弦は小首をかしげて見せた。 「行きたくないのか? 遊園地」 「……先輩!」  ぱあっと晴れた千尋の笑顔に、弦は照れくさそうにひとつ笑って見せた。 「早く起きて来い。飯の仕度はできてるぞ」 「ありがとう! 先輩!」  体の熱は下がったが、心の熱はぐんぐん上がってきている。  弾むような足取りで、千尋はもうすっかり寝飽きたベッドから飛び降りた。

ともだちにシェアしよう!