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第八章 何だか今夜のお前は、いやらしいぞ
ホームルーム終了10分前。
ほぼ出つくした意見をさらい、司会の委員長は学級会をまとめる方向に発言した。
「では、3年6組からの文化祭への出し物は、メイド喫茶でよろしいでしょうか」
男子一同が、やんやと手を叩いた。
頭の中はもう、女子たちの可愛いメイド服姿でいっぱいだ。
みな、鼻の下を長くのばして、様々な妄想に耽っている。
ただ一人をのぞいて。
(フッ、くだらん)
やれやれと、弦は溜息をついた。
どうしてこう男というものは、一風変わった女子の姿に夢中になるのか。
服を変えてみても、中身は同じだというのに。
それに弦は、すでに世界一愛らしい後輩・千尋のメイド服姿を拝んでいるのだ。
いまさらどんな女子の姿を見ても、あれほどときめくことはないと解かりきっていたので、冷めていた。
だがしかし。
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