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第八章・5
千尋には内緒にしておこう、と帰宅した弦を出迎えたのは、眼を輝かせた後輩の姿だった。
「ね、弦先輩! 先輩が、執事になるんですって!? すごいな。僕、絶対に3年6組に行きますから!」
「なぜ、それを!」
坂井さんが教えてくれた、と答える千尋。
弦は坂井に口止めしておかなかったことを、海より深く後悔した。
一年生は夏休み前に『白南風祭』で三年生をもてなしているので、今回の文化祭は完全に観覧側にまわることが許されている。
文化系のクラブに所属している生徒はそれなりに忙しいが、千尋は帰宅部なのでのんびりと楽しむことができるのだ。
「でも、先輩。執事なんてできますか? 難しくないですか?」
「執事か。自信がないな」
「先輩、特訓しましょう。僕でよければ協力します」
「むぅ。確かに客商売は、しくじるわけにはいかんな」
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