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第七章・12
「あの……、海江田先輩はいますか?」
「千尋!?」
何と、開店して真っ先に訪れた客は、あろうことか千尋だった。
河島くん、海江田の舎弟、などとクラスメイトが囁く中、少しおどおどしながら千尋は飾り立てられた教室の中へ入ってきた。
三年生側も初めての客にとまどい、なかなか千尋をエスコートできない。
そこに、制服にフリルなど付けたメイドコスチュームを着た坂井が、ずいとやって来た。
「お帰りなさいませ、ご主人様♪ 河島クン、よく来てくれたね!」
「坂井さん」
顔見知りの坂井に声を掛けられた千尋は、ホッとした。
リラックスして周囲が解かるようになってくると、奥に見た事のない姿の弦を探し出すことができた。
髪はオールバックで、改造制服のタキシード。
同じような格好をした男子は他にもいたが、弦ほど際立って目立つ人間はいなかった。
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