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第七章・14
低い柔らかな声で静かにそう言われると、千尋はもうへなへなと座り込んでしまうところだった。
椅子をひき、メニューを渡される。
なかなか決められないでいると、お勧めの飲み物を紹介してくれる。
特訓で散々やったやり取りのはずなのに、千尋は夢見心地になってしまう。
ぼおっとジュースを飲みながら、室内を歩く弦の姿に見とれている。
次第に千尋以外の客も、ちらほらやってくるようになってきた。
その中には、彼の友人・佐藤と数名の姿もあった。
「お、河島じゃん」
「ヤッホ~♪ 河島くん」
佐藤グループの中の女子に、弦が声をかける。
「お帰りなさいませ、お嬢様」
今しがた千尋にしてあげたように椅子をひき、メニューを渡す。
千尋はその二人の姿に、ぽかんと口を開けたまま固まってしまった。
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