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第七章・17

 客の入りには、波というものがある。  目の回るほど忙しい時を過ごした後は、ふっと客足が途切れる。  千尋は、その隙を狙って、再び弦の執事姿を見に来ていた。  上品な先輩。  礼儀正しい先輩。  物静かな先輩。  どれも魅力的な姿であるはずなのに、昨日より色褪せて見えるのはなぜだろう。 「河島クン、また来てくれてありがと♪ どう? 海江田先輩は。カッコいい?」 「え? あ、はい」    坂井には愛想よくそう答えたが、見れば見るほど違和感を覚える弦の姿。  こんなの、弦先輩じゃない。  ぼんやりとポテトチップスをかじっていた千尋の耳に、突然ガラの悪い少年たちの声が飛び込んできた。

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