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第七章・19

「異物混入だぞ、オラァ!」 「責任とれよ、セキニン!」  担任の山本先生は、来客があったと言って職員室へ行ってしまったばかりだ。  頼れる大人が、いない。  負けん気の強い坂井が、不良たちに立ち向かおうと一歩二歩踏み出している。  千尋は慌ててその腕をつかんで、やめさせた。 「坂井さん、僕が行きます」 「河島クン」  そう、僕だって男なんだ。  女性を危険な目にあわせるわけにはいかない!  千尋が席から立ち上がったその時、不良たちの前に踏み出した男がいる。  周りより頭一つ高い背丈。  がっしりとした、筋肉質の体つき。 「弦先輩!」  弦の体からは、強大な威圧感が発せられていた。

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